行動変容とは?健康経営と従業員の運動習慣を両立するための実践ポイント
健康経営を推進するうえで、近年とくに注目されているキーワードが「行動変容」です。どれだけ制度や福利厚生を整えても、従業員の行動が変わらなければ、健康管理の実効性や生産性向上にはつながりません。行動変容とは、個人の意識や習慣が段階的に変わっていくプロセスのことを指し、運動習慣やストレス対策といった健康行動と深く関係しています。
本記事では、健康経営と行動変容の関係を整理しながら、従業員のモチベーションを引き出し、無理なく運動や健康習慣を定着させるための実践ポイントを解説します。

行動変容とは?企業が注目する理由

健康経営を推進するうえで、近年とくに注目されている考え方が「行動変容」です。健康診断の結果を共有したり、福利厚生としてフィットネスや健康セミナーを導入したりしても、従業員が自身の現状とリスクを理解し、「そろそろ変わらないと」と 思わないと、健康管理の成果は一時的なものにとどまってしまいます。重要なのは、従業員一人ひとりが「健康に良いと理解している行動」を、日常の中で無理なく継続できる状態をつくることです。
企業が果たす役割は、従業員の意志や根性に頼ることではありません。職場環境や福利厚生、支援制度を通じて、自然と健康的な行動を選びやすい“環境”を整えることが求められます。行動変容の考え方を取り入れることで、
・制度設計に時間が割けない
・ストレスの軽減
・モチベーションの安定
・生産性の向上
といった効果が期待でき、結果として企業価値の向上にもつながります。
行動変容の定義と基本ステップ
行動変容とは、個人の意識や価値観が変化し、それに伴って行動が段階的に変わっていくプロセスを指します。健康経営においては、「運動を始める」「ストレス対処を意識する」「健康管理を自分ごととして捉える」といった行動を、習慣として定着させることが目的です。
ここで参考になるのが「行動変容ステージモデル」です。このモデルでは、人の行動は以下の5段階で進むとされています。
・無関心期:健康や運動に興味がない状態
・関心期:必要性を感じ始めている状態
・準備期:始めるための情報収集や準備をしている状態
・実行期:実際に行動を始めている状態
・維持期:行動が習慣として定着している状態
企業がこの段階を理解せず、一律の施策を行うと、従業員の行動にはつながりにくくなります。従業員の状況に合わせた支援を行うことが、行動変容を促す基本となります。
健康経営との関係性
健康経営とは、従業員の健康を「コスト」ではなく「投資」と捉え、経営戦略の一部として位置づける考え方です。その中核にあるのが、従業員の行動変容です。制度や福利厚生を整えるだけでは、行動が変わらなければ十分な成果は得られません。
行動変容を意識した健康経営では、従業員が自然に健康的な選択をしやすくなる仕組みづくりが重要です。
例えば、
・オフィス内で短時間にできるストレッチの導入
・フィットネスを福利厚生として利用しやすくする制度設計
・健康に関する学習機会を定期的に設ける
といった取り組みは、行動の“きっかけ(トリガー)”として機能します。
こうした環境整備は、「変わりたい」という気持ちの後押しや、ストレスの軽減や集中力向上につながり、生産性の安定化にも寄与します。健康経営と行動変容は、切り離せない関係にあるといえるでしょう。
習慣化の心理学的背景
行動変容を継続させるためには、心理学的な視点も欠かせません。人はモチベーションだけに頼った行動を長く続けることが難しく、負担が大きいほど挫折しやすくなります。そのため健康経営では、「頑張らせる」のではなく、「自然と続く仕組み」をつくることが重要です。
ここで役立つのが、トランスセオレティカルモデル(TTM)です。TTMでは、行動変容は次の流れで進むとされています。
・気づき:健康課題を認識する
・準備:行動を始めるための環境を整える
・実行:実際に行動を起こす
・維持:行動を習慣として定着させる
例えば、健康セミナーで気づきを与え、オフィス内でのフィットネスやストレッチで実行を支援し、コミュニティやフィードバックを通じて維持を促す、といった流れです。こうした段階的な支援が、「またやりたい」という気持ちを引き出し、運動習慣やポジティブ思考の定着につながります。
健康経営における運動習慣の重要性

健康経営を考えるうえで、運動習慣は欠かせない要素の一つです。運動は体力向上だけでなく、ストレス軽減やメンタルヘルスの安定、生産性の維持にも深く関係しています。しかし現実には、「忙しくて運動する時間がない」「何をすればよいかわからない」と感じている従業員が多く、個人任せでは運動習慣が定着しにくいのが実情です。そこで重要になるのが、企業が職場環境や福利厚生を通じて、自然と身体を動かせる“きっかけ”を提供することです。健康経営における運動支援は、単なる福利厚生ではなく、従業員の健康管理を支え、組織全体のパフォーマンスを底上げするための経営施策といえます。
運動不足が企業にもたらすリスク
運動不足は個人の健康問題にとどまらず、企業活動にもさまざまな影響を及ぼします。身体活動が少ない状態が続くと、疲労感や集中力低下、ストレスの蓄積につながりやすくなります。その結果、業務効率が下がったり、ミスが増えたりするケースも少なくありません。また、メンタル不調のリスクが高まることで、休職や欠勤につながる可能性もあります。
こうした状態が続くと、職場環境全体の雰囲気にも影響し、生産性の低下やモチベーションのばらつきを招きます。特に中小企業では、一人ひとりの影響が大きいため、運動不足による影響が顕在化しやすい傾向があります。だからこそ、運動を「個人の努力」に任せるのではなく、企業として支援し、習慣化を後押しすることが重要なのです。
福利厚生としての運動支援施策
運動習慣を促す方法として、多くの企業が取り入れているのが福利厚生としての運動支援です。ポイントは、特別な人だけが使う制度ではなく、日常業務の延長線上で利用できる仕組みにすることです。
例えば、以下のような施策は取り組みやすく、行動変容のトリガーとして機能します。
・オフィス内やワークスペースに簡単な運動設備を設置する
・法人会員として外部フィットネス施設やオンラインサービスを利用できるようにする
・短時間で参加できるオンラインフィットネスや健康セミナーを定期開催する
これらは「運動しなければならない」ではなく、「気軽に試せる」状態をつくる点が特徴です。福利厚生として制度化することで、従業員の心理的ハードルを下げ、行動変容ステージモデルでいう準備期から実行期への移行を後押しします。
運動習慣がもたらすポジティブな変化
運動習慣が職場に根付くことで、さまざまなポジティブな変化が生まれます。身体を動かすことは、気分転換やストレス発散につながり、前向きな思考を保ちやすくします。また、定期的な運動は睡眠の質向上にも寄与し、日中の集中力や判断力の安定にも効果的です。
さらに、運動をきっかけに従業員同士のコミュニケーションが生まれることもあります。軽いストレッチやフィットネスを一緒に行うことで、部署を越えた交流が生まれ、職場環境の改善につながるケースも少なくありません。このように、運動習慣は個人の健康だけでなく、組織全体の雰囲気や生産性を高める重要な要素といえるでしょう。
職場環境と行動変容の相乗効果
行動変容を職場に根付かせるためには、制度や福利厚生だけでなく、それを「使いやすい」「続けやすい」と感じられる職場環境づくりが欠かせません。いくら良い施策を用意しても、日々の業務と切り離された存在になってしまうと、従業員の行動にはつながりにくくなります。健康経営において重要なのは、従業員の行動変容を“特別な取り組み”にしないことです。仕事の合間や日常の流れの中に自然と組み込まれることで、行動は習慣へと変わっていきます。職場環境を整えることは、従業員のストレス軽減やモチベーション維持にもつながり、生産性向上や運用効率化の観点からも大きな意味を持ちます。
行動変容を促す実践ポイント

職場で行動変容を促すためには、「正しいことを伝える」よりも「行動しやすい状況をつくる」ことが重要です。従業員の多くは、健康の必要性を理解していても、忙しさや心理的ハードルによって行動に移せていないケースがほとんどです。そのため企業側は、行動のきっかけとなる環境づくりを意識する必要があります。
具体的には、
・業務の合間に数分でできるストレッチを取り入れる
・フィットネスや健康施策の情報を定期的に共有する
上司や管理職が率先して取り組む姿勢を見せる といった小さな工夫が、行動変容のトリガーとして機能します。これらは大きなコストをかけずに実施でき、中小企業でも取り組みやすい点が特徴です。
SMART目標と小さな成功体験
行動変容を継続させるためには、目標設定の方法も重要な要素です。そこで役立つのがSMART目標です。
SMARTとは、
・具体的(Specific)
・測定可能(Measurable)
・達成可能(Achievable)
・関連性(Relevant)
・期限付き(Time-bound)
の頭文字を取った考え方で、無理のない行動設定に適しています。
例えば「健康のために運動する」という漠然とした目標ではなく、
・週に2回、昼休みに5分のストレッチを行う
・月に1回、オンラインフィットネスに参加する
といった具体的な目標にすることで、達成のイメージがしやすくなります。小さな成功体験を積み重ねることで、従業員のモチベーションが高まり、行動変容ステージモデルにおける実行期から維持期への移行を後押しします。
トリガー設計とフィードバックの仕組み
行動を習慣化するためには、行動を思い出させる「トリガー」と、行動の結果を振り返る「フィードバック」の仕組みが欠かせません。トリガーとは、行動を始めるきっかけとなる合図のことです。例えば、決まった時間にストレッチのアナウンスを行う、社内チャットで健康情報を配信するなど、日常業務と結びつけることが効果的です。
また、フィードバックは行動の継続意欲を高める役割を果たします。数値での変化だけでなく、「参加率が上がった」「気分が良くなった」といった感覚的な共有も有効です。こうした仕組みは、健康施策の運用効率化にもつながります。
コミュニティと称賛文化の活用
行動変容を長期的に維持するためには、個人だけでなく、周囲との関係性も重要になります。職場内にコミュニティが生まれると、「一人で頑張らなくていい」という安心感が生まれ、行動が続きやすくなります。例えば、同じ目標を持つメンバー同士で進捗を共有したり、簡単な声かけを行ったりするだけでも効果があります。 さらに、行動を称賛する文化を育てることもポイントです。成果の大小に関わらず前向きな取り組みを認めることで、ポジティブ思考が広がり、職場全体の雰囲気が良くなります。このような環境づくりが、健康経営における行動変容を支える土台となります。
まとめ:企業が今取り組むべきこと

― 行動変容を“一過性”で終わらせないために ―
健康経営における行動変容の取り組みは、制度や施策を導入しただけでは十分とは言えません。重要なのは、従業員の健康管理や運動習慣が「一時的なイベント」で終わらず、日常の行動として自然に定着していくことです。そのためには、現場で無理なく運用できる仕組みづくりと、継続を後押しする工夫が欠かせません。ここでは、行動変容を企業文化として根付かせるために、今すぐ実践できるポイントを整理しております。
健康経営の未来像と行動変容の役割
これからの健康経営は、福利厚生として施策を「提供する」段階から、従業員の行動や意識を「変えていく」段階へと進んでいきます。行動変容の視点を取り入れることで、健康施策は単なるコストではなく、生産性や組織力を高める投資へと位置づけ直すことができます。
特に重要なのは、トランスセオレティカルモデル(TTM)で示される
・気づき → 準備 → 実行 → 維持
という流れを前提に、従業員一人ひとりの状態を尊重することです。
例えば、
・無関心期・関心期の従業員には「知る・気づく」機会を
・準備期・実行期には「始めやすい環境」と「小さな成功体験」を
・維持期には「称賛・共有・仲間づくり」を
といったように、段階に応じた支援を行うことで、運動習慣や健康行動は無理なく定着していきます。
行動変容は個人任せにするものではなく、企業が環境と仕組みで支える経営戦略の一部なのです。
実践に向けた第一歩
「行動変容を定着させたい」と考えたとき、最初から完璧な制度設計を目指す必要はありません。むしろ、中小企業においては、スモールスタートで運用しながら改善していく姿勢が現実的です。実務面で意識したいポイントは、次のような点です。
・既存の福利厚生や社内制度と組み合わせて導入する
・業務の妨げにならない時間帯・頻度で実施する
・数値目標だけでなく「続けられているか」を評価軸にする
・管理部門だけでなく現場の声をフィードバックとして活用する
また、行動変容を促すには「やらなければならない」仕組みよりも、「自然とやってしまう」環境づくりが効果的です。オフィス内でのストレッチ導線、短時間フィットネス、定期的な健康セミナーなど、日常業務の延長線上に健康行動を組み込むことで、従業員のモチベーションやストレス軽減にもつながります。
行動変容に役立つCOSPAウエルネスのサービスのご紹介
行動変容を定着させるには、継続的な支援と運用効率化を両立させることが重要です。COSPAウエルネスでは、中小企業でも導入しやすく、実務負担を抑えながら活用できる健康支援サービスを提供しています。
例えば、
・フィットネス施設の法人会員制度による運動機会の提供
・オフィスやオンラインで実施できる運動プログラム
・食事・睡眠・メンタルヘルスなどをテーマにした健康セミナー
・行動変容ステージを意識した継続支援型の仕組み設計
など、従業員の状態や職場環境に合わせて柔軟に組み合わせることが可能です。
専門的なノウハウを活用することで、担当者の負担を減らしつつ、健康経営を「続く取り組み」へと育てていくことができます。行動変容を軸にした健康経営は、従業員の健康だけでなく、企業の未来を支える土台づくりでもあります。まずはできるところから、小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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